スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年9月21日 (月)

オールラウンダーから鉄棒のスペシャリストへリスタート 体操・内村航平1年ぶりの競技会出場「ワクワクしている気持ちが強い」

21日=高崎アリーナ 体操の全日本シニア選手権(22日最終日)で、1年ぶりの競技会に臨む内村航平(31=リンガーハット)が会見を行った。鉄棒1種目に絞って初の大会に臨むレジェンドは「今は、ワクワクしている気持ちがすごく強い。これまで(ケガなどで)準備できなかったのに比べれば、今回、準備はかなり出来た方。いい準備が、ワクワクにつながっている。特別な感情は持たず、自分が準備してきたものを出したい」と、久々の試合を前に感情をコントロールし落ち着いた様子を見せた。東京五輪延期決定後、痛めていた肩の状態もあり、鉄棒1種目に絞って五輪を目指すと決断。鉄棒のみで出場する試合も今回が初めてとなる。
 戸惑いはもちろんある。「これまでは2時間3時間演技していたが、(鉄棒だけだと)何せ、ほんの2分~3分、演技自体1分くらいで終わってしまう。この1分に凝縮させて演技として出せれば」と、6種目のオールラウンダーからスペシャリストへ転向して知った未知の部分を明かす。H難度の大技「ブレトシュナイダー」への挑戦も注目されるが、内村が理想とする技の完成度にはまだ遠く、試合会場で試技すると恐怖心もあったという。「いざ(演技を開始する合図の)手を挙げてやれば恐怖心はなくなると思う」と話し、すべては五輪に向けての「実験になる」(内村)と位置付ける。6種目での実施が1種目になったからといって、「楽になる」わけではない。むしろ、予選、団体総合、種目別と積み重ねて鉄棒種目別に臨んだ時のほうが、心身ともベストコンディションは作りやすかったのかもしれない。レジェンドは、新境地に向かって、数々の栄光を刻んだ「額縁」をも飛び出してリスタートを切る。試合は22日に行われる。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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