スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年8月28日 (金)

競泳瀬戸大也 約半年ぶりのレース ベストより3秒遅れも「自分では合格ライン。久しぶりにワクワクした」と手ごたえ

28日=競泳・早慶対抗水上競技大会(辰巳国際水泳場) 2020年東京五輪競泳代表の瀬戸大也(26=ANA)が、早慶戦の200メートル個人メドレーに早大OBとしてオープン出場し、1分58秒62の1着でゴールした。瀬戸がレースに出場するのは2月のコナミオープン以来、約半年ぶり。自己ベストの1分55秒55から3秒07遅れたものの、前半を想定内のタイムでカバーできた点を収穫とし、「後半は完全に練習不足。(ライバルや関係者が数字だけを見たら)落ちているな、と思われるだろうが、自分としては合格ライン、(会場の)辰巳に来られて久しぶりにワクワクした」と、満足そうな笑顔を見せた。
 昨夏の世界選手権(韓国・光州)で金2、銀1のメダルを獲得。優勝した200メートルと400メートルの個人メドレーで東京五輪出場権を得て、五輪金メダルに好スタートを切った。また2種目で、1月に自己ベストを更新するなど、2年をかけた五輪へのピーキングが順調に進んでいる様子だった
3月にコロナ禍で五輪延期が決定。「延期が決まった時は喪失感で抜け殻になりました。正直、自分を見失ったまま、スイッチが入らない。非常に苦しくて正直、何を目指したいか、どこにいるのか分かっていない」(8月上旬デサントのトークイベントで発言)と、深い失望感を吐露していた。
 東京五輪1年延期に、五輪後に解消する予定だった梅原孝之コーチとの師弟関係も、予定通り解消し、埼玉栄高時代の同級生の浦瑠一郎氏にコーチを変更。「新しい関係でやってみたかった。自分(瀬戸)をよく分かった上でアドバイスしてくれるし、自分も、どうしたいのかはっきり言える」と、小5から指導を受けたコーチとは違った形での再起を同級生と目指す。体重が3~4キロ増えたそうだが、レース後、久しぶりの試合に「さらにスイッチが入る感じがした」と話し、今後は、昨年新設された国際水泳リーグ(ISL)にも出場すると明かした。泳げる喜びを心から感じられたという競泳のエースは、オンライン会見が終ると、記者のいない会見場に頭を下げて退室した。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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