スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年8月 9日 (日)

女子サッカーなでしこリーグ4節 6連覇目指すベレーザ終了間際の2連続得点で新潟と引き分け 新潟は勝ち点3を逃がす 

9日=味の素フィールド西が丘 2020プレナスなでしこリーグ1部4節が各地で行われ、6連覇を狙う女王、日テレ・ベレーザとアルビレックス新潟レディースが対戦。前半、後半と1点ずつを奪って2-0とリードした新潟が、試合終了1分前、アディショナルタイムにたて続けに失点する詰めの甘さで勝ち点3を取り損ねてしまった。新潟は前半、カウンターから最後はDFのイヒョギョンがゴールを決めて先制。ボールを保持されるなかでカウンターを効果的に活かした。後半20分には左サイドからのクロスに児野楓香がヘディングで合わせて2点を奪った。チャンスを決められずリズムに乗れないベレーザに対して、試合を優位に進めたが、残り3分、攻守でチームの要となっていた34歳のベテラン、上尾野辺めぐみを交代。直後に遠藤純に、91分に小林里歌子に決められ、わずか3分で形成を逆転され、勝ち点3を取りこぼしてしまった。一方、土壇場で2点を奪って同点でしのいだベレーザは、勝ち点を7とし前節と同じ4位にとどまった。

来秋には女子初のプロサッカーリーグ、「WEリーグ」がスタートする。両クラブとも、女子サッカーを長くリードしてきた存在で初代プロリーグに予定される10クラブに入る有力なクラブだろう。新型コロナウイルス感染拡大を防止するために作られたガイドラインでは、まだ「超厳戒態勢」にあり、観客の入場制限が敷かれるなか、それでも盆休みの日曜日に、(制限中での)チケット販売分は完売するなどファンの期待感も漂っていた。
 選手はこれから「プロ」として、来年のオリンピックでのメダル獲得に代表されるプレーのレベル向上はもちろん、ピッチで、最後まで戦う姿勢を見せるなど、これまで以上に厳しく様々な要素が求められる。また、現在は1部10クラブの全監督が男性で、女性活躍を掲げるリーグとして今後、女子指導者を潜在的に増やしていくための改革に着手する。日本サッカー協会はこのほど、プロリーグ発足を機に、女子指導者がライセンス取得をしやすいように、従来のプロ監督ライセンス「S級」と、A級の間に、女性プロ監督の「Aプロ」ライセンスを設置すると発表したばかりだ。

新理事長の岡島喜久子チェア(62)は、初代リーグ参加に17クラブが申請したのをうけ、1日「これほど多くのクラブが手をあげて下さって本当に有難い。スタジアムや自治体との一体感のほかに、女性活躍をどう考え、実行して下さるかもヒアリングで重要な要因にしたと思います」と、10月の参加クラブ決定まで話を聞くとしている。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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