J1サガン鳥栖 3試合に加え、29日湘南戦も延期 クラスター発生の背景に予防の不徹底を指摘される
21日=オンライン会見 J1のサガン鳥栖が、金明輝監督をはじめ新型コロナウイルス感染者11人のクラスターを発生させた件で、Jリーグは29日に予定されていた鳥栖と湘南ベルマーレのリーグ戦を中止にすると発表した。鳥栖に絡む中止試合は、ガンバ大阪戦(15日)、ベガルタ仙台戦(19日)、コンサドーレ札幌戦(23日)に続き、これで4試合目となる。鳥栖は現在、県・保健所の指導によって25日までクラブ全てのカテゴリーで活動を停止。このため練習再開は26日からとなり、アウェーの移動を含め中3日で湘南戦を迎える厳しいスケジュールとなる。原博実・Jリーグ副理事長は会見で、時間が足りず準備不足となる点を理由にあげ「フットボールの(クオリティの)観点から、8月29日の再開は難しい」と説明した。
また新型コロナウイルス対策本部の藤村昇司本部長は、厚生労働省から「クラスター対策班」が鳥栖に入り、「疫学調査を実施し、そこに特別にJリーグも同席させてもらった」と明かした。
その中で、感染そのものは、FC東京戦で東京に滞在した間に、壁やエレベーターのボタンなど、何かとの接触で起きた可能性もある、との指摘を受けたという。感染の特定理由は判明しない一方で、選手、関係者の聞き取りで、クラスター発生にはクラブの問題点も見つかった。Jリーグのガイドラインに記されている、スタッフルームでマスクなしの会話、ビュッフェスタイルの食事でのトングの共有、試合中の給水タイムで、監督ほかからマスクなしの指示、といった注意事項を厳守しなかった点も明らかになっており、感染が広がり、クラスターに至った可能性がある。藤村氏は「原則が徹底していなかったのではないかと思う。鳥栖の問題というより今後Jリーグの問題、クラブへの徹底として受け止める」と、反省点を口にした。
チーム関係者に行ったアンケートでは、同居人以外の会食を行っていた選手、スタッフが多くいたことも判明した(接待を伴う店や大人数の会食はなし)。詳細なガイドラインの策定や追加を主導し、再開後も万全の運営を続けてきたJリーグは、今後、これら感染予防対策をクラブが実際にどこまで徹底しているかなど、チェックする必要があるかもしれない。
鳥栖は臨時検査で選手、スタッフ、家族にまで範囲を広げ123人を対象にしたPCR検査を実施。全員の陰性が確認された。