スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年8月23日 (日)

陸上セイコーGP女子1500㍍ 20歳の田中希実が14年ぶり日本新で新国立競技場日本記録第一号に 男子100㍍は桐生が優勝

23日=国立競技場 陸上のセイコー・ゴールデングランプリが、東京五輪のメイン会場となる国立競技場で行われ、女子1500メートルでは、20歳の田中希実(豊田自動織機TC)が4分5秒27の日本新記録で優勝した。2006年に小林祐梨子が出した従来の記録を14年ぶりに2秒59と大きく塗り替えるもので、7月に五輪種目ではない3000メートルでも8分41秒35と18年ぶりに日本記録を更新するなど、五輪延期の中でも勢いを見せる。田中はレース後、オンラインの会見で「無我夢中で、レースの記憶がないほど。日本新を出す練習はしていないので記録を見て安心した。(3000㍍の日本記録から)精神的なものが強くなったと思う」と話した。国立競技場で陸上の主要大会が行われるのはこの日が初。旧国立競技場が歴史の幕を閉じた後、20歳の田中の日本新記録が、新国立で最初の日本記録となった。
男子100㍍には、米国在住のサニブラウンを除く、国内の有力選手が揃った。8月1日のレースで10秒04の好記録をマークした桐生祥秀(日本生命)が向かい風0・2㍍のなか、10秒14で優勝、2位はケンブリッジ飛鳥(ナイキ)で10秒16。昨年5月以来1年3か月ぶりの復帰戦に臨んだ山縣亮太(セイコー)は、1組目に走ったが10秒42とタイムが伸びずに予選で敗退した。
男子200㍍は飯塚翔太(ミズノ)がV、男子やり投げでは、ミズノに所属しながらクラウドファンディングで本場・フィンランドでの強化合宿を行う支援を受けたディーン元気(ミズノ)が、自己ベストに続く、セカンドベストになる
84㍍05の好記録でV。五輪参加標準記録も視野に入る記録だった。陸上は今後、来月に実業団選手権、10月に日本選手権を行う予定だが、同大会の開催は4か月遅れ、五輪延期後の標準記録突破にはかからない大会と、日本選手権の位置付けが極めて難しい中、セイコーGPは先ずは足慣らしといった競技会の再スタートとなった。

 

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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