スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年4月16日 (木)

IOC(国際オリンピック委員会)と21年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会がテレビ会議 コーツ氏「あったらいい、ではなく絶対になくてはならないものを選びコスト削減徹底」追加費用負担は明言せず

16日=都内でのテレビ会見 世界的な新型コロナウイルス感染拡大のため、21年への開催延期となった東京オリンピック・パラリンピックについて、大会組織委員会とIOC(国際オリンピック委員会)はテレビ会議で「エグゼクティブプロジェクトビュー」を行い、「ジョイント・ステアリング・コミッティー」を設立し、この委員会のメンバー、組織委員会の森喜朗会長(82)、武藤敏郎事務総長(76)、IOCのコーツ調整委員長(69)、クリストファー・デュビ五輪統括部長らで今後の調整を行っていくとする共同声明を発表した。
延期によって、追加費用が膨れあがる見込み、またそれをIOC、組織委員会、都のどこで主に負担するのかなど今後に大きな問題が横たわる。IOCのジョン・コーツ調整委員長(69)はこの点について「さらなるコスト削減を行う」と、大会に関するすべての分野で「なくてはならないサービスなのか、それとも、あったらいいけれど本当に必要なのか、徹底的に検討しなくてはならない」と話し、一例として「ライブイベント」が行われると莫大な警備費用が発生する状況や、ホスピタリティも人数を見直していくべきだと考えを示した。
延期による追加費用をIOCが負担するかについては「国際競技団体(NF)や各国オリンピック委員会(NOC)は、新型コロナウイルスの影響で厳しい財政状況。そうした関係者を助けたい」と歯切れが悪く、東京の問題には踏み込まなかった。
それどころか延期の決定をした
安倍首相に対し、コーツ委員長は「安倍首相は世界のリーダーの1人で非常に賢い方。(延期の決定で)21年に大会を開けることは日本経済の刺激策になる」と私見を披露。景気後退後の五輪開催を「ポジティブなチャンスになる。日本の経済を急発進させる、観光業を促進し、ホテル業界にも航空業界にも、雇用全体にもプラスに働くかもしれない。春には新たなイベントがめじろ押し。もちろんマイナスの要素もあるが、安倍首相は必ずや日本経済のプラスになると確信して提案されたんだろうと」と話し、首相の提案をIOCが受け入れた形を強調し費用の負担の明言を避けた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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