女子サッカーなでしこジャパン 予定通り米国遠征へ出発 コロナウイルス問題で五輪前最後の対外試合の可能性も「チームの総合力試される」 高倉監督
2日=成田空港 サッカーの女子日本代表「なでしこジャパン」が、米国各地で行われる「シービリーブスカップ」に向けて出発した。6日スぺイン(オーランド)、9日イングランド(ニュージャージー)、12日アメリカ(テキサス)とそれぞれ中2日で移動をこなしながらの転戦は、東京五輪の本番グループステージにも絶好のシミュレーションとなる。また、五輪は主催がIOC(国際オリンピック委員会)のために、W杯のルールとは異なり登録メンバーも23人ではなく18人と5人少ない。高倉監督は成田空港で取材に対応し、「そこ(サバイバル)を見ていく部分と、選手一人ひとりに何ができるか(複数ポジションをこなせるかなど)両方を見たい。この遠征でチームとしての総合力が試される」と、新型コロナウイルス関連で感染拡大が不安視されるなかでの米国遠征に気持ちを込めた。現時点では米国の招待試合でもあり、入国などでの制限はなく関係者からの協力も最大限受けている。一方で、この遠征3試合は、その後、国内で予定される親善、壮行3試合がウイルスの余波で中止になる可能性があるため、五輪本番前、確実に行われる公式対外試合としても重要度を増した。監督は「緊張感をもってやってくれているが、周囲からどう見られるか、応援してもらえるチームとしても考えていかなくてはならない」と、五輪イヤー最初の国際試合に選手の奮起を促していた。
〇・・・学校や経済活動だけではなく、多くのスポーツ活動が自粛に追い込まれるなか、五輪を目指すなでしこジャパンが米国遠征を中止せずに出発した。正確には「出発できた」と表現すべき状況だろう。この朝、彼女たは全員マスクをしたまま(それは問題ないが)取材に待機していたメディアの前を、声を出して挨拶することなく素通りし、マスクを一瞬でもとって笑顔で手を振ったりする様子がなかった。なでしこ、といえば、笑顔で元気で、時にやかましい!と周囲に笑われるような女性チームだった。2004年、なでしこ、と命名された際、その花はどんな時でも太陽に向かって咲く、と言われ、歴代の代表たちはずっとそういうチームを作ろうと努力した。こういうつらい時に、五輪を目指す自分たちがなぜ多くの人と違って遠征できるのか。元気に挨拶し、手を振るのはメディアに対してではない、と気が付いて欲しいと願う。11年の東日本大震災の年、彼女たちがW杯に優勝をし、人々にさらに「愛された理由」と行動も、2大会ぶりの五輪を目指す現在のなでしこにも受け継がれているはずだ。