スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年3月12日 (木)

男女マラソン内定選手円谷幸吉さんの墓参り(福島・須賀川)と会見 「気持ちの整理がついていない」女子マラソン松田瑞生が会見中涙 中村コロナ自粛の富士通会社命令 大迫は仕事で欠席

12日=郡山 8日、男子はびわ湖、女子は名古屋ウィメンズで、選考指定レース「MGCシリーズ」を全て終えた男女マラソンの代表内定選手が揃って、1964年東京五輪の男子マラソン銅メダリストの円谷幸吉氏の墓参り(須賀川)をし、その後会見に臨んだ。男女マラソン代表はそれぞれ海外を含めた合宿を行うため、全員が揃う機会は今後ないため設定された11日の研修会、12日は墓参、それに続く会見だったが、「経営陣からの要請で会見にも出てはいけないという判断を広報サイドから伝えられた」(河野長距離・マラソンディレクター)と、MGC優勝の中村匠吾は所属の富士通がコロナウイルスに対して自粛を伝えてきたと欠席。また大迫傑(ナイキ)は「個人の仕事の都合」(瀬古プロジェクトリーダー)で欠席し、男子代表内定者ではトヨタ自動車の服部勇馬だけが研修、墓参、会見に出席した。一方女子は、MGC優勝の前田穂南、補欠の小原怜(ともに天満屋)、MGC2位で内定した鈴木亜由子(日本郵政グループ)、8日の名古屋で優勝し内定した一山麻緒(ワコール)、1月の大阪女子で優勝し2時間21分47秒の好記録で最後まで選考会をリードしながら代表にはなれなかった補欠の松田瑞生、5人が全員とも出席。会見中、今後の予定を質問された松田がマイクを握りしめたまま「まだ気持ちの整理がついていないので・・・気持ちの整理をし、体を整えてまたチャレンジしたいと思います」と、8日の名古屋からわずか中3日で振り絞った言葉と、泣き出す場面も。オリンピック代表になる重み、努力、夢の大きさを、出場を決めた代表選手以上に強く示す印象深い会見となった。
 瀬古氏の話 円谷さん、君原さん、寺沢さんが東京(1964年東京五輪)で走ってくださったから、今の自分たち、マラソンのブームがあると、ずーっと自分の心の中にあった。円谷さんの力を借りて選手には走ってもらいたいと墓前でお願いしました。(これまで会場の札幌移転などもあり)中止なんてそんなことあったらいけない。モスクワの決定(ボイコット)が5月だったのを思い出して(延期・中止の話がでると)胸がドキッとする。
 トヨタ自動車・服部 3人のお話を伺った中で、皆さんがおっしゃったのは「マイペースで走ること」でした。プレッシャーもやりがいも両方ありますが、自分が目指した夢の舞台であることは変わりない。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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