スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年2月10日 (月)

ラモスが東京Vのチームダイレクター就任会見 「ヴェルディの、戦うDNAを取り戻せるように」日本サッカー界育成にも提言

10日=東京ヴェルディ J2ヴェルディは昨年までアドバイザーを務めていたラモス瑠偉(63)が、今季からチームダイレクターに就任すると発表し、ラモス、羽生社長が揃ってクラブハウスで記者会見を行った。昨年はビーチサッカー日本代表監督としてw杯で過去最高成績タイとなる4強に入るなど手腕を発揮。チームダイレクターのポジションはラモスも初就任となり、会見で、「自分は選手でも監督でもないし、奇跡は起こせない。立て直すんじゃなくて、もともと魅力的なチーム。でもDNAを忘れている」と、まずはかつてチームメイトでもある永井秀樹監督(49)、現強化部とのコミュニケーションや立ち位置を明確にしたうえでの任務を強調した。羽生社長も「なんでもデータの世の中、そうでないところで試合が決着するのも事実。ラモスにはそういうサッカーの見方を教えてもらいたい」と定性的な視野に期待を寄せた。
 ラモスは「ヴェルディDNA」について「育成からの問題。戦っていない。ヴェルディは面白いサッカーをして、上手だったけれど、みんな戦っていた。何のためにピッチに立っているのか、クラブを愛し、恩返しするため」と定義し、U―23がアジア選手権で1勝もできずに終わった結果を例に、「まったく森保監督のせいじゃない。代表に集合して5日で、監督が戦え、と教えてできるはずがない(すでに持って代表に来るべき)」と、日本サッカーの強化全体の問題を提起した。3年前に脳出血で一時は歩行も困難とされた時期もあったがリハビリで奇跡的に復活、昨年のビーチサッカー、今回の古巣でのチームダイレクター就任と63歳のエネルギーは衰えをしらない。サッカーとなると、声のトーンがみるみる上がって顔も紅潮するが、「体のこと考えるならサッカーに関わらないほうがいいよ」と笑った。13年ぶりにJ1復帰を果たした横浜FCのカズ(三浦知良、52)にも、「(現役続行は)彼らしい。新しい国立でプレーするカズを見たい」と激励した。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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