スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年2月21日 (金)

東京五輪日本選手団のウェア発表 リオ五輪の約5倍の通気性で酷暑に勝つ 「ウイルスが消し飛んでくれないか祈る気持ち」森喜朗・組織委員会会長挨拶

21日=都内 2020オリンピック・パラリンピック日本選手団オフィシャルスポーツウェアの発表が行われ、15年4月から今五輪のスポンサー最上位のゴールドパートナー契約を結ぶアシックスが、サンライズレッドと言われる鮮やかな赤を基調にした「ジャポニズム」をコンセプトにしたユニホームを披露した。パラリンピックで6大会連続出場を決めた陸上・走り高跳びの鈴木徹(39=SMBC日興証券)、男子マラソンで代表に決定している服部勇馬(26=トヨタ自動車)、クレー射撃で5大会の出場を果たす中山由起枝(40=日立建機)ら13人が壇上に立った。中山は公式ウエアを過去4回着用した経験から「代表選手のスイッチのようなもの」と、臨戦モードに入ると強調。コンディションの中でも暑さ対策を重視し軽い素材を使用したため、通気性はリオ五輪時のものに比べてえ5倍にもなるという。
「こういう場所に来て、本当に緊張した」と苦笑いした服部も「今ここでたくさん汗をかきましたが、吸汗性抜群です」と会場の大きな笑いを誘った。ウエアをリサイクルして公式ウエアにも使用する「リボンプロジェクト」でサステナビリティ(持続可能性)も追及し、女子レスリングで3連覇を果たした吉田沙保里がゲストで登場、自身が着用していたウェアをリサイクルに出したと明かし、「(現役当時の看板だった)霊長類最強のパワーも入っています」と話すと、選手からも喜びの声が上がった。開閉式の式典用公式ウエアはすでに「AOKI」が発表している。
パラリンピックの日本選手団団長・河合純一氏(パラ水泳元代表)は壇上で「今回、公式ウエアも初めてオリンピックとすべて同じものになった。大変ありがたいし、日本として本当の多様性に踏み出せる一歩になる」と声を弾ませた。挨拶に立った森喜朗・組織委員会会長は代表にあやかって真っ赤なネクタイを着用し、「早くウイルスどっかに消し飛んで欲しいなぁ、神にも祈るような毎日」と、スポーツイベントが続々と中止になるなか本音を吐露していた。会場は関係者、取材陣全員がマスクを着用する厳戒態勢の中行われた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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