スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2020年2月28日 (金)

東京五輪残り1枠をかけた東京マラソン(3月1日)会見「誰より速く走ることだけに集中する」(大迫)「(走れない)一般ランナーの分も頑張る」(設楽)車いす部門は米国など10選手欠場へ

28日=都内ホテル 3月1日、コロナウイルスによる感染拡大を理由に一般ランナーの出場を中止して行われる「東京マラソン2020」のエリート選手の記者会見が行われた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、車いすの招待選手は米国の男女計4人を含めて男子は3人、女子は7人の計10人が出場を辞退した。五輪代表最後の1席を争う選考レースに臨む国内招待選手、大迫傑(ナイキ)、設楽悠太(ホンダ)、井上大仁(MHPS)も会見に出席。2時間5分50秒の大迫の持つ日本記録突破が五輪代表選出の条件になる。井上は2時間4分30秒を目標にしたが、設楽はMGCでの敗戦もやり切った半分、悔しさ半分だったと明かしたが「タイムはあまり気にしない。MGCの悔しさをぶつけたい」と、2時間6分10秒とした。大迫は昨年も設定タイムを「???」としたが(レースは途中棄権)、今年も目標タイムに「2」(時間)のけたのみ記入。今回はトレーニングをケニアで初めて行うなど新たなチャレンジをし「誰よりも速く走ることだけに集中している」と、MGC3位と代表を決められなかった悔しさも「負けたこともプラスに背中を押してくれた」と、ポジティブな姿勢を見せた。ペースメーカーは1㌔2分55秒で2時間3分58秒の大会記録更新を狙うトップグループと、1㌔2分58秒ほどで2時間5分50秒を狙う日本人ペースに分けて設定される、と早野レースディレクターが明かした。
一般ランナーが出場できない異例の事態となったが、「僕たちの走りが元気を与えられるなら頑張りたい」(大迫)、「沿道やすれ違う応援がないのは残念。一般ランナーの分も頑張る」(設楽)と気持ちを寄せた。
1日のレース前日となる29日には日本陸連がレースで履く使用シューズの提出を求める。厚底シューズのチェックで、会見でこの質問を受けた大迫は「これってアレ(厚底)ですよね? マラソン以外のことは答えなくていいと言われているので。たぶんみんな同じだと思いますけど」と、ほかの選手が答えるかどうかの前に回答を拒否した。会見前、主催者側は確かに「質問は大会のレースに関するもののみ」と記者にアナウンスした。ただし、シューズの仕様やアライアンスを説明するのは、レース展望ではありふれた「マラソンの」質問だ。主催者、関係者の厚底への神経質な対応が逆に際立っていた。


 

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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