スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2019年12月16日 (月)

陸上アスリート・オブ・ザ・イヤーに50㌔競歩鈴木雄介「この座は渡さないので後輩は私を蹴り落とす位の気持ちで」ユーモアあふれるスピーチ披露

16日=都内ホテル(港区) 日本陸連は年間の優秀選手を表彰する「アスレティックアワード2019」を行い、年間最優秀選手「アスリート・オブ・ザ・イヤー」に、9月のドーハ世界陸上50㌔競歩で初の優勝を果たした鈴木雄介(富士通)を選出した。副賞は旅行券。優秀選手はほかに、同世界陸上20㌔競歩で金メダルを獲得した山西利和(愛知製鋼)、同世界陸上男子400㍍リレーで銅メダルを獲得した多田修平、小池祐貴(ともに住友電工)、白石黄良々(セレスポ)、桐生祥秀(日本生命)、サニブラウン アブデルハキ―ム(フロリダ大)、IAAFインドアツアーで日本人初の総合優勝した戸邉直人(JAL)、が選ばれた。また、女子マラソンの指導で有森裕子、高橋尚子両氏を育て五輪メダルを獲得した小出義雄氏(4月死去)に特別賞が授与された。新人賞は、走り幅跳びで日本記録を27年ぶりに更新した城山正太郎(ゼンリン)、ドーハ世界陸上女子5000㍍で日本歴代2位の好記録をマークした田中希実(豊田自動織機TC)、全日本50㌔競歩で日本記録(19年世界ランキング1位)を更新した川野将虎(東洋大)、ドーハ世界陸上女子20㌔競歩で7位に入賞した藤井菜々子(エディオン)の4人。日本GPシリーズチャンピオンは、110㍍障害・高山峻野(ゼンリン)、女子やり投げの北口榛花(日大)がそれぞれ輝いた。
 鈴木は、これまで偉大な先輩たちの受賞の陰でMVPを取れずに「これまで何度も阻まれてきました」と、ユーモアにあふれた受賞あいさつに。「来年も再来年もこれからもこの座を渡すつもりはありません。私は後輩の壁となって、皆さんは私を蹴り落すくらいの気持ちで、1人1人が主役になれる陸上界を」と、毎年、MVPを逃がすたびに「自分だったらこんなスピーチをする・・・」とずっとシミュレーションをしてきたというだけあって、競技同様準備万端の好スピーチを披露した。サニブラウンは会見で優秀賞の感想を
聞かれ、「鈴木選手を蹴り落せれば・・」と答えて笑いを誘うなど、常に注目と期待を背負うプロとしてのスタートとなる表彰で、ユーモアのセンスをうかがわせた。

[ 前のページ ] [ 次のページ ]

このページの先頭へ

スポーツを読み、語り、楽しむサイト THE STADIUM

増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

最新記事

カテゴリー

スペシャルインタビュー「ロンドンで咲く-なでしこたちの挑戦」