スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2019年9月13日 (金)

マラソン初の一発五輪代表選考レースMGC(15日)会見 日本記録保持者・大迫「最後に勝てばいい話」設楽「30キロで勝負ついてる」

13日=都内ホテル 2020年東京オリンピックの男女マラソン選考会「マラソングランドチャンピンシップ」(MGC、明治神宮外苑発着)公式会見が行われ、女子10人、男子30人の出場者全員が揃って15日のレースに向けて①今レースへの意気込みを漢字一文字で表現すると?②レースの勝負所③自信の持ち味を壇上でフリップに書き込むなどした。ケガが伝えられていた女子、前田彩里(ダイハツ)と、関根花観(日本郵政)、男子の一色恭志(GMOアスリ―ツ)の3人の欠場が発表された。男女とも上位2名が五輪代表に内定する。男子は8時50分、女子は9時10分スタート。男子は日本記録保持者の大迫傑(ナイキ)が、今レースに駆ける意気込みの漢字一文字を「傑」と記入。残念ながらこの①は壇上での質疑応答は女子だけで答える機会がなかったものの、その後の囲みで「今までやってきた中で一番いい練習が出来た。心身とも非常に好調を維持でいたので自分のなかで‘傑作’という部分を出したいとの思い。自分の思うところと名前が一致した」と、棄権した2月の東京の際の囲みとは違って、リラックスしユーモアを漂わせた。レース展開は特に想定せず、コースの下見もこれからという。「最後に勝てばいい話。そのための力を温存する。強さを見せられば」と、自信を見せた。大迫はみずからの持ち味を「冷静」と書いた。一方、大迫とならぶ有力候補の前日本記録保持者、設楽悠太(ホンダ)は、ほとんどの選手が勝負ところに「後半の坂道」と書くところ、1人、前半10㌔と対極の展開を想定。「誰もついて来られないくらいペースをあげるかもしれない。ぶっちゃけ30㌔で(後半の坂道に行く前に)勝負はついているし、そこからペースは上げられない」と、1㌔3分を切るペースをも口にするなどあくまでも自分のレースに集中する構えだ。30人で1、2位の五輪代表を争うレース自体、今回初めてとなり、2人が示すように、充実したトレーニングをベースにペースメーカー不在のレースで「自分のマラソン」をどう走り切るかが重要になる。大迫は「メディアの皆さんが思うほど(ランナー同士は)互いのことを気にしていません」と言い切っていた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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