スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2019年9月10日 (火)

「堂安、翔哉、南野、大迫・・・個を抑えられた時どうするか・・・ポイチ(森保一監督)ならやってくれる」元代表監督岡田氏 殿堂表彰式で10日始まるW杯予選にエール

10日=JFAハウス(東京・文京区) 日本サッカー協会(JFA)創立記念日の10日、殿堂掲額式典が行われ、今年は、日本代表監督として、初めてW杯(98年フランス大会)出場を果たした岡田武史氏(63=FC今治オーナー)、昨年のロシアW杯を率いて16強に進出した西野朗氏(64=タイ代表監督)、2011年女子日本代表「なでしこジャパン」でドイツW杯を制覇した佐々木則夫氏(61=J2大宮トータルアドバイザー)の3人が殿堂入りした。2010年と2度に渡りW杯で指揮を執った岡田氏は「経営の方が楽しくて」と、指導者として最高位の「S級ライセンス」返上をユーモラスに表現。岡田氏が初めてW杯の扉を開いてから6大会連続出場を果たし、奇しくも10日、ミャンマーで7大会目に挑む日本代表に対し「(日本代表は)組織で戦ってきて、堂安、翔哉(中島)、南野、大迫と、個が(得点への)引き金となっている。老婆心かもしれないが、そこを抑えられた時にどうなるか・・・もうちょっと強いチームとの試合ができればいいのかなと思う」と、指導者より経営者に専念していると話す一方、変わらない監督目線の鋭さで森保ジャパンにエールを送った。佐々木氏は、掲額者では最年少となる。「同じ埼玉であこがれだった」という西野氏との同時受賞。「なでしこをバックヤードで支えて行きたい」と、2023年のW杯開催招致に立候補している女子サッカー全体の底上げへの支援を口にした。


「(殿堂入りは)どこかに閉じ込められてしまうような気がして・・・」額ぶちに閉じ込められず飛び出す西野監督ビデオでメッセージ
 10日、インドネシアでタイ代表としてアウェーに(初戦ベトナムは引き分け)臨む西野監督は、ビデオメッセージでコメントした。28年ぶりの五輪出場を果たしたアトランタ五輪(96年)ではブラジルを破る「マイアミの奇跡」を起こし、Jリーグでは4クラブで最多となる通算270勝をあげた。また昨年はW杯ロシア大会で16強に進出。実績を築きあげた一方で、7月からは単身でタイ代表監督に就任するなどいまだチャレンジを続けている。ビデオでは「(殿堂入りで)どこかに閉じ込められてしまうような気がして・・」と、「額」を飛び出している現状を照れくさそうに表現。この日、式典に出席し祝辞を寄せた高円宮妃殿下は「(掲額の理由を印す)プレートの下に、新たな経歴が追加されることもあり、ということでしょう」と話された。プロがスタートして以降、日本サッカーの一時代をけん引した指導者3人が表彰された転機に
、称賛と3人の功績が「現在進行形」であると期待を寄せられていた。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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