スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2019年7月12日 (金)

一般社団法人「なでしこケア」設立 キャプテン熊谷沙希が代表理事に就任「女子サッカー選手による女性と社会のための活動を」

12日=千代田区内幸町ホール 女子サッカー日本代表「なでしこジャパン」のキャプテン・熊谷紗希(オリンピック・リヨン)が代表理事となる一般社団法人「なでしこケア」(なでケア)設立イベントが行われ、熊谷と同じく2011年W杯優勝のメンバー、近賀ゆかり理事(オルカ鴨川)、大滝麻未・事務局長(ジェフユナイテッド千葉レディーズ)が会見を行った。女子サッカーの普及、女子サッカーによる女性と社会のための活動、選手が自立し強く優しく生きる女性のロールモデルとなるなどの目標を掲げる。大滝事務局長は2017年に選手同士の話し合いが活動の原点となったと明かし、「社会に対し寄り添い、貢献できる存在になるように、改めて女性サッカーの力を選手や関係者で発揮していきたい」と活動の趣旨を説明した。設立会見では公益社団法人「難病の子どもとその家族へ夢を」との協定を結ぶ調印式もあり、今後は全国に50カ所ある子どもの難病専門病院を選手が訪問し、看護する母親にサッカー教室を開くなど活動する。ただ財源の確保などは今後も検討課題になるという。アメリカが優勝した今年のW杯(日本は16対強)では、引退を発表していたブラジルのレジェンド、マルタがテレビインタビューで「自分は引退するが、これからは女子選手が新たな時代を切り開くためにサッカーを」と力強く宣言。4回目の優勝を果たした米国のキャプテンで、ラピノーもサッカーにおける勝利給や環境の男女差別に抗議したほか、「(優勝して招待されても)ホワイトハウスなんか行かない」と、トランプ大統領の移民政策、女性差別の姿勢を痛烈に批判しするなど女子サッカーが競技だけではなく、社会の女性活躍の推進力にもなっている。熊谷は「私たちの立場を理解して責任ある発言、発信をしていきたい」と話した。

[ 前のページ ] [ 次のページ ]

このページの先頭へ

スポーツを読み、語り、楽しむサイト THE STADIUM

増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

最新記事

スペシャルインタビュー「ロンドンで咲く-なでしこたちの挑戦」