スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2019年5月16日 (木)

Jリーグ26周年記念日 社会連携「Jリーグをつかおう」で、地域密着、貢献を改めて進める

15日=東京都内 Jリーグが始まった1993年5月15日から26周年を迎えたこの日、創設時から理念に掲げている地域密着、貢献の取り組みをさらに進めて行くため、各クラブがホームタウンとする自治体やスポンサー企業、NPOなどが「Jリーグをつかおう」と題したワークショップを行い、約180人が参加した。Jクラブがこれまで行ってきた地域貢献活動はすでに一定の成果はあげており、昨年の25周年を機に、クラブが提案し運営してきた地域活動を、市民側から「Jリーグを使って」と、主体をクラブから市民、ファンに移して社会連携をしていく試み。村井満チェアマンは「これまでは(スポーツを)する、観る、支える、だったが、そこに、つかう、が加わった。サッカーをプレーしなくても、サポーターやボランティアでなくても、これからはJリーグをつかって社会連携をできる新しい流れが生み出せれば」と、25年間、Jリーグが拠り所としてきた地域密着の理念の重要性を改め強調した。
 26年前10クラブでスタートしたJリーグは現在39都道府県に55クラブを有する。チェアマンは「26年前、国民の健康に貢献するという理念が2すでに明記されており、今こそ、その価値が大きく問われる」と、60クラブを目指す次の四半世紀に意気込みを伺わせた。
 ワークショップでは各クラブの取り組みも紹介され、Jリーグの観戦調査では毎年「地域に貢献している」という高評価を受けるフロンターレは、障がい者の雇用機会をホームゲームに作り、J2の徳島ヴォルティスは、地元に本部がある製薬会社(大塚製薬)と連携。クラブに所属するトレーナーを地域に派遣し、住民の健康づくりや医療費の削減につなげようとしている企画を報告した。
成功例だけではない。J3SC相模原は、地域の子どもたちの居場所をつくるためにクラブハウスでスタッフが宿題を手伝う事業を始めたが、人手不足で活動を中止せざるを得なくなったとJ3、地方クラブの財政だけではない苦労を明かした。
 6月からはJリーグに「Jリーグをつかおう」公式サイトが立ち上がり、3人以上でクラブと社会の連携をはかれる企画を公募ができる。Jリーグは、その内容にふさわしいクラブと公募者のマッチングをし、基本的な知識、情報も提供する。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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