スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2012年5月24日 (木)

サッカー日本代表W杯最終予選メンバー発表 監督会見 「宮市が選出 練習全非公開のザックカーテン敷かれる」

 24日=文京区日本サッカー協会 6月3日にスタートするW杯最終予選のメンバーが決まり、ザッケローニ監督が発表した。メンバー25人に、23日のアゼルバイジャン戦で代表にデビューした19歳の宮市亮(ボルトン)も入った。

 

代表は25日から埼玉県内で合宿をスタート。3日オマーン戦、8日ヨルダン戦、12日はアウェーで豪州と(ブリスベーン)戦う。

 

 今回は、全練習日程で非公開となるなど、これまでオープンだったザック監督が分厚いカーテンを敷き、3連戦への緊張感、意気込みをうかがわせる。

 

GK川島、西川、権田
 
DF駒野、今野、栗原、伊野波、長友、槙野、内田、吉田、酒井

 

MF遠藤、中村、長谷部、細貝、本田、高橋

 

FW前田、岡崎、ハーフナー・マイク、森本、香川、清武、宮市

 

以下監督会見から要旨のみ抜粋

(監督会見から要旨のみ抜粋)

 ザック監督 この3連戦がまずは重要になる。この3試合ももちろん、この3試合だけではなく予選全て8試合をトータルで見ていかなければならない。タフな試合になるし、どこも3次予選を勝ち抜いて力をつけている。しかしポジティブに考えているし、チームを信じている。みなさんも私のことを少しは分かってくれていると思う。結果を口約束するわけではないが、ベストを尽くすタイプだということは分かっていただけるだろう。

ソクラテスのようにたくさん話して殺されてしまったというのでは困るので(笑)この辺で質問に。

―全てが非公開だが

ザック監督 昨日の会見でも、得点力をあげるには?などと聞かれ、答えてしまえば対戦相手に情報を与えることになる。この時代、みな情報獲得に必死になるものだが、チームを予選に集中させたい。相手を有利にさせることはひとつもしたくない。

―経験のある藤本が落ちて、宮市を入れたが。

ザック監督 選手の特徴ができるだけかぶらないように選考した。宮市が藤本の代わりというわけではなく、宮市はゴールに迫る、藤本はアシストが得意、そういう特徴がある。宮市の特徴は両サイドで幅を持たせ、1対1に強く、ゴール前にも入って行ける、そういうところがある。

―予選では必ず苦戦する場面が出てくるが。

ザック監督 勉強がしっかりできて準備が整った学生が試験に臨む気分だ。

―森本のケガは?また高橋が選ばれたのは?

ザック監督 昨日の試合で腰を打撲したが、今朝の状況ではよくなっている。数日で回復するだろうという情報だ。オマーンには間に合うし合流できる。高橋は、コンディションが良く、Jの中でもトップクラスのコンディションだ。戦術眼があり、ピッチの広い部分をカバーできるフィジカルもある。まだ若いが気に入っている。

―3連戦の勝敗は?

ザック監督 経験から、計算はしないことだ、と思っている。大切な試合だが、決定的な試合というわけではない(シーズンの最後に勝ち点を大量に奪ったこともある。この仕事をして30年の経験から学んだことは、ひとつひとつ目の前の試合をこなしていくことしかない。今回のメンバーを選ぶにあたって、3試合を想定したが、今はオマーン戦だけに集中して行きたい。サッカーでは時に勝って、時に負ける。うちのチームの特徴として、できなかったことが、次の試合でできる、そういう(予想だけでは不可能な)チームでもある。

ー長い合宿になるが。

ザック監督 フレンドリーマッチではないので勝ち点のために重ねる合宿だ。4-2-3-1と、3-4-3のシステムには重点を置くことになるだろう。

―ワントップの問題は?

 ザック監督 必ずしもFWのゴールだけが仕事ではない。相手のDFを引き付けるというタスクがあり、それをやってくれた。チームでのゴールが最優先で、ここまで40ゴールもたくさんの選手によるものだ。マイクハーフナーは、昨日の2人とは全く違う、ゴール前での仕事、エリア内での体の強さといった特徴がある。

 -メンタル面で選手に期待するのは。

ザック監督 高いモチベーション、代表でのプレーへの誇りを持ってほしい。自負していることが、サッカーはチームプレーだ。そこを把握してきてほしい。一人の選手の才能が勝利をもたらすこともあるが、それは1試合だけ。長い戦いで勝ち抜くのは、チームの強さしかない。

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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