スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2011年10月 8日 (土)

「ゴールのイメージがわかないわけじゃないけれど」ー苦悩するエース香川 槙野 長谷部 長友 原口コメント

 前半、左サイドを突破しながら、途中でドリブルをひっかけてDFに奪われ、体を入れられてボールを失ってしまう。昨年のW杯後、ドイツのドルトムントへ移籍し快進撃を続けてきた香川真司が、元気をなくしているようだ。この日もシュートは1本に終わった。

 「ジレンマ?ゴールへのイメージが沸かないわけじゃないけれど、調子が良いときに比べるとダメ。メンタルですね。最近の自分はああいうミスが多くて…」と声を落とした。ドルトムントでは、今季1ゴール。ゴールで波に乗るかと思われたが、コンスタントなプレーにつながらない。自身もそのことを気にし、周囲の評価も敏感に受け止めてしまうらしい。同じドイツでプレーする長谷部も「もう少し気楽にやってもいいのに」と気遣った。

 一方で、ザック監督はこの日の香川について「バイタルエリアで前を向き、ゴールの裏を狙う動きもできていた。相手に的を絞らせない自由な動きはできていたのでは」と、原口や長友らの名前を一緒にあげて前向きな評価をした。ベトナムの瞬発力や粘り、走力も予想以上のもので、悲観するような出来ではなかった。

 「落ち込んでいても仕方ない」と、11日のタジキスタン戦に気持ちを切り替えた。

★「吉田からはサンキュウ、マイクからは怒られた」=後半23分で足がつって吉田と交代した槙野  つっただけです。これが試合に出ていない、ということです(ケルンでも1月以降先発出場機会なし)。緊張感をもって臨むなど掴みきれなかったし、何よりも人よりやってやろうという気持ちが強すぎた。FKは監督からも指名されていたので、外してしまって「惜しい」ではダメ。期待に応えないと。マイクには(交代で入ろうとしていたところ、DF槙野の負傷で、交代できなかった)怒られ、(槙野と交代することになった)吉田にはサンキュウと言われた。ゴールを決めた李君よりも、自分の話題のほうが(ロッカーで)多くなってしまった。

★「みんな頭でプレーしようとしていた」=長谷部 サイドで2対1を作るなど狙いはよかった。もっと精度を高めていかないと。みんな頭でプレーしようというのがあったかもしれない。(3バックの出来なら)30・40、50%くらいでしょうか。まあ、そうすぐにできるようになるとは思わないし、完成度を高めるには時間も必要だ。次のタジキスタン戦は、勝ち点3を取る、気持ちの入った試合を見せたい。もし雰囲気を見て何かやるべきだと考えたら(ミーティングなどを)やります。

★「難しい、とにかく難しい」=代表に復帰した長友 (3バックは)話し合いながらやるしかない。みんなの距離が遠かったのでもうちょっと近くに入らないと。課題もあった試合、難しいですね。(インテルでも3バックはやったが)それとは違う。難しいです。李が前線で孤立してしまっていたし、サイドに人数をかけ過ぎた。課題をどう修正してタジキスタン戦に臨むかだと思う」

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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