スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2011年8月25日 (木)

「W杯アジア3次予選 日本代表メンバー発表」浦和・原口初選出、川崎・中村約1年ぶり復帰

9月2日、北朝鮮とのホーム戦で(埼玉スタジアム、19時20分キックオフ)サッカー日本代表の2014年ブラジルW杯アジア3次予選が始まるのを前に、メンバー23人が発表され、浦和レッズの原口元気(20)が初めて代表に選ばれた。札幌で行われた日韓戦で初出場ながら2アシストと存在感を見せた清武弘嗣(C大阪)とともに、五輪世代も加え、中村憲剛(30=川崎)も昨年10月以来の復帰を果した。
 右肩脱臼から練習に復帰したDF長友佑都(インテル・ミラノ)は「(リーグ戦に出られる状態にならなければ)復帰している、とは言えない」と、監督も大事を取った。
 また10月7日、ホームスタジアム神戸でベトナムとの親善試合を行うことも発表された。監督はこの対戦について「自分たちを見つめるための試合も重要だ」と意義を説明した。ここでも若手の選手を招集するなどしていく。

「バランスと勇気で予選を勝ち抜く」=ザック監督 
W杯に行くことが最大の目標であり、私がここに来た理由でもある。日本の好成績があって、相手が高い意識で臨んでくることは分かっている。我々も自分たちの立場は分かっているし、サポーターや多くの人々の期待に応えられるように今までのように「バランスと勇気」を持ったプレーで挑んで欲しい。これまで積み上げてきたものを出していくつもりだ。ここ1年、自信、互いの距離感は特に精度があがってきていると思う。いい準備はできているし、プレッシャーはもちろんあるが、それを楽しみに変えていけるようにしたい。

(ザック一問一答、会見から要旨抜粋)
ー中村憲剛の復帰について
ザック監督 クオリティの高いプレーを見せてくれているし、代表に復帰するるにふさわしいと思う。真のプロで、フィジカル、メンタルでもいい状態で、グループの中でも常に協調している選手だ。これまでも言った通り、年齢に関係なく門戸は常に開かれている。
ー五輪世代の原口を抜擢したが。
ザック監督 現在、未来を考えても原口選手はいいものを持っていて、しかも継続性がある。クオリティを考えると、A代表に収集できるようになったのか、と思う。
ー中村、阿部ら経験値のある選手を選んだのは?
ザック監督 若い選手とベテランが融合し、バランスがよく取れていると思う。代表にはいつでも入れるというメッセージだ。今回招集されなかった家長、松井らのことはよく把握しているし、これからもいいものをピッチで見せて欲しい。
ー対戦相手のインフォメーション(情報)は?
原委員長 テクニカルスタッフがやっているが、ここでは言えないですねえ、なかなか(笑)。(北朝鮮の)選手は、よく知っている。スタッフの分析は進んでいるがここでは言えない。ウズベキスタンは、アジアとは違ったテクニックを持っている。タジキスタンも情報はないが3戦目なので情報は収集できると思う。
ー長友は?
ザック監督 トレーニングは始めていると把握しているが、インテルではまだ出ていないので、回復とはリーグに出場してこそ、と考えている。
ー1日からの北海道合宿でも(韓国戦前)特徴は見ていると思うが、原口のよさは?
ザック監督 残念ながらケガをしていて別メニューだった。一年間継続して見ている中で、時に積極的な姿勢と、継続的な点が成長した。スピードの中での高い技術を見せてくれると思う。代表での振る舞いでも、チャンスを生かすようにしてもらって、さらにテクニックを伸ばして欲しい。全ての若い選手にいえることだが、(代表にとって若手が)フレッシュな存在になるというか、いい新陳代謝になることを期待している。
ー若手の伸びには満足しているか?
ザック監督 代表での起用に迷いはないが、Jでも海外でも活躍している選手はいるが、活躍次第で代表に入ることはできる。日本サッカーの育成、下部組織、大学以下の指導のでいい仕事をしてくれている。
ー中村の復帰は?
ザック監督 結果がよかったからだ。高いクオリティを持っているし、経験もあり、パスの精度も高い。グループの和を乱さないし、30になってもクオリティを維持している。
ー清武はサイドアタッカーだ、と話していた。原口は?またベトナムが相手に決まったのは?
ザック監督  原口は攻守ともに貢献できる、右利きで左サイドから切り込むのが武器、守備をしながらも得点ができるのがいい。おおまかなリクエストは伝えた。対戦相手が強ければ強いほど成長はできるが、ときに、自分たちのことだけに目を向けられるのもいいのかな、と思う。自分たちに目をむけ、バランス、メンテナンスをすることも必要だ。ブラジル、アルゼンチンとやる際には結果に目がいく。今回はそうではないことを御願いした。ただ相手を過小評価しているのでは、なく自分たちのほうに目を向けたい、それが理由だ。


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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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