スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2011年7月31日 (日)

「簡単なグループも、簡単な相手もいない」ザック監督 3次予選組み合わせにコメント

8月1日からの札幌での合宿に向かう日本代表・ザッケローニ監督は、広報を通じてリオデジャネイロで決まったW杯ブラジル大会大陸間3次予選の組み合わせについてコメントした。監督は、「3次予選なので、簡単なグループも、簡単な相手もいない。我々が入ったグループは、難しいグループに思えるかもしれないが・・・

 ワールドカップに行くためには、いずれはやらなければならない相手であるし、とにかくやるだけだ。まずは、初戦のDPRコリア戦に向かって、しっかりと集中していく」と、9月2日の初戦、北朝鮮戦に向けて予選モードへと気持ちを切り替えた。

 移動距離、または北朝鮮のように入国が困難な国も入っており、ホーム&アウェーでの対戦について「対戦相手については、どこで、いつどのようなタイミングで試合をするかによって、その状況によって相手の力も変わってくる。しっかりと準備をしてやることを念頭におかなければならない。アジアチャンピオンとして、対戦相手も日本を研究して全力で向かってくると思うが、1試合1試合に集中して戦っていきたい」とした。監督にとっても初の経験となるワールドカップ予選を「とても興味深い初めての経験になる。常に新しいことに対する意欲があり、初めての経験を楽しみながら迎えたい」と、意欲的に捉えた。

 ランキングでは大きな差があるかに見えるが、対戦国は日本にとって戦いやすい相手ではない。2009年6月、日本はウズベキスタンにアウェータシケントで勝って本大会出場を決めたが、岡崎の1点で逃げ切った1-0。有利なはずのホームでは1-1で引き分けている。今年1月、日本が優勝したアジア・カップ3位決定戦では、韓国に接戦で敗れたものの組織的なサッカーで中央アジアの先陣を切る。
 104位のシリアともアジア杯の1次リーグで対戦し、GK川島が退場となる数的不利の中で2-1で競り勝った。対戦同様に不安視されているのが、政情不安。首都ダマスカスでの試合になるのか未定だが、予定通りに試合開催ができるか、政情を巻き込んだポイントになる。
 ランキングは115位の北朝鮮も、入国の困難などが待ち構える。06年ドイツ大会の予選では、ピョンヤンでの試合で審判への暴動が置き、これをFIFAが制裁。日本との一戦は、中立国のタイ・バンコクで行われ無観客試合の中で日本が本大会出場を決定(大黒、柳沢のゴールで2-0)するという過去例にない対戦の因縁もある。
 昨年のW杯南ア大会に出場して1次リーグで敗退したが若年層を含め強化は確実に行われている。日本が北朝鮮で試合をしたのは、1989年のW杯イタリア大会予選が最後。シリア、北朝鮮でのアウェー戦を想定すると、ホームでの勝ち点3が最終予選進出のポイントとなる。

■3次予選スケジュール
9月2日 H 朝鮮民主主義人民共和国 (埼玉スタジアム、ナイトゲーム)
  6日 A ウズベキスタン(会場未定) 
10月11日 H シリア (大阪・長居スタジアム、ナイトゲーム)
11月11日 A シリア (会場未定)
11月15日 A北朝鮮 (会場未定)
2012年
2月29日 ウズベキスタン(愛知・豊田スタジアム、ナイトゲーム)

■過去の対戦
ウズベキスタン 5勝2分
シリア      7勝1分
北朝鮮     6勝4分5敗

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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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