スポーツライター増島みどりのザ・スタジアム

2011年6月25日 (土)

「関塚監督 試合の詰めの甘さ、改善を」サッカー五輪代表クウェートから帰国

 サッカーの、ロンドン五輪アジア予選で、クウェートに1-2で敗れたが、初戦ホームの勝利(3-1)で辛くも勝ち残った(2試合合計で4-3)日本代表が25日、アブダビ経由でクウェートから帰国した。アウェーの名古屋戦に向かう原口元気(浦和)らJリーグに出場可能な選手は、飛行機の到着が1時間遅れたことで、ロビーに出るなり猛ダッシュ。スパイクやサンダルを片手に東京駅に向かうタクシーに走った。
 
 これで、12チームによる、最終ラウンドに進出が決定。4チーム3グループで各組首位がロンドンの出場権を獲得、2位はプレーオフを行ってアフリカとの大陸間プレーオフで最後の出場権を争うことになる。
 また、北京五輪の成績から(日本は予選で3敗で勝ち点0)3グループのシード国だった中国、韓国、追うーストラリアのうち、中国が敗れたために、日本に「タナボタ」でシードがあてがわれることになった。
 組み合わせではやや有利になったが、12チームのうち中東勢、またマレーシアなど猛暑の国も残っているため、7日の組み合わせ(マレーシア)が注目される。
 帰国した関塚監督は、「夏の中東は想像以上だった。西野監督(アトランタ)、山本監督(アテネ)、反町監督(北京)もやっていない(変則的な)一発勝負、かなりの緊張感の中やらせてもらいましたよ」と、初の公式戦が、初のホーム&アウェーで、しかも一発勝負という厳しい戦いだったことを、ほっとした様子で振り返った。
 初戦の出来は良さ出た、と評価する一方、3点とってからの失点、またアウェーでも1点とってから2失点喫した、試合の流れを読む戦術眼や、ゲームの詰めの甘さを反省し、「相手の足が止まっているときに、息の根を止める試合運び、ポイントを自分たちで抑えていかないとこれからはもっと厳しい」と、最終予選への課題をあげた。チームとしては初の中東でのアウェーで、コンディショニングでの課題も多くあったという。
 昨年のアジア大会はサッカーイベントではないため、実質初の「公式戦」で、チームをまとめ、勝ちきった山村は「初めてのことばかりだったが、とにかくチームで乗り切るんだということをずっと考えた。去年W杯で、(長谷部、闘莉王や中澤らの)リーダーシップやチームのまとめ方を近くで見たことがもの凄く勉強になっている」と、ほとんど準備ができない中で勝ちきったことが自信につながった様子。監督は、今後も、「今回の(柏の)酒井がそうだったように、Jリーグの中で好調な選手が伸びてきてくれることに期待している」と、今後の選手選手選考も、リーグでの好調さがカギとした。
 
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増島みどり プロフィール

1961年生まれ、学習院大からスポーツ紙記者を経て97年、フリーのスポーツライターに。サッカーW杯、夏・冬五輪など現地で取材する。
98年フランスW杯代表39人のインタビューをまとめた「6月の軌跡」(文芸春秋)でミズノスポーツライター賞受賞、「GK論」(講談社)、「彼女たちの42・195キロ」(文芸春秋)、「100年目のオリンピアンたち」(角川書店)、「中田英寿 IN HIS TIME」(光文社)、「名波浩 夢の中まで左足」(ベースボールマガジン社)等著作も多数

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